Vol.4 // 北欧デザインが愛される理由(4) 北欧各国のデザイン-スカンジナビア編

デンマークにある「ルイジアナ現代美術館」のカフェ。カラフルな椅子は、デンマークの巨匠、アルネ・ヤコブセンがデザインした「セブンチェア」。

デンマークにある「ルイジアナ現代美術館」のカフェ。カラフルな椅子は、デンマークの巨匠、アルネ・ヤコブセンがデザインした「セブンチェア」。

前回はフィンランドのデザインについて紹介したが、今回はスカンジナビアの国々(ノルウェー・スウェーデン・デンマーク)について解説したい。

北欧は、4か国を合わせても人口が約2500万人と少なく、スウェーデンは鉄鉱石が産出されるものの、資源にも恵まれていない。しかし、ノルウェーは事情が異なる。それは、1960年代に発見された北海油田の存在だ。巨額のオイルマネーを手に入れたノルウェーは、他の北欧諸国が優れたデザインのプロダクトを海外へ輸出することで外貨を得ようとしたのに対し、国の政策としてデザインに力を注いでこなかった。それゆえ、北欧の中ではデザイン後進国と呼ばれる。ただ、70年代には、座板と足のせ板の位置を成長に合わせて変えることで、赤ちゃんから大人までが使える画期的な椅子「トリップ トラップ」が生まれた。世界中で愛用されるベストセラーだ。

スウェーデンには、ノーベル賞の晩餐会で使用されるテーブルウェアを提供しているロールストランドに代表される、王室御用達のブランドがある。ただ、北欧デザインの黄金期と呼ばれる1950〜60年代は、デンマークやフィンランドほど、世界的に知られるデザイナーを輩出していない。だからこそ、90年代以降、伝統に縛られることなく、いい意味で北欧らしくないユニークな発想を持った建築家、デザイナーたちが登場した。また、彼らは国内、北欧だけでなく、世界にも目を向けた。自動車の「ボルボ」や、インテリアの「イケア」、アパレルの「H&M」などの世界的企業が多いのも特徴だ。

ミッドセンチュリーの北欧デザインをリードしたのが、デンマークだった。「アントチェア」「エッグチェア」などで知られるアルネ・ヤコブセンや、「Yチェア」のハンス・J・ウェグナーをはじめ、フィン・ユール、ポール・ケアホルムら、次々と名前が挙がる。北米における評価も高く、「デザイン・イン・スカンジナビア展」が巡回され、世界的に知られるきっかけとなった。デザイナーのアイデアを実現するために、試行錯誤を繰り返した職人のレベルも高い。デンマークのプロダクトからは、最もクラフトマンシップが感じられる。

ハンス・J・ウェグナーの名作「ザ・チェア」などを製造するデンマークの工房、PPモブラー。機械でできることは機械にゆだねる合理性と、熟練の職人による手仕事とのバランスがいい。ちなみに、「ザ・チェア」はジョン・F・ケネディがテレビの討論会で腰かけたことで、一躍人気となった。

ハンス・J・ウェグナーの名作「ザ・チェア」などを製造するデンマークの工房、PPモブラー。機械でできることは機械にゆだねる合理性と、熟練の職人による手仕事とのバランスがいい。ちなみに、「ザ・チェア」はジョン・F・ケネディがテレビの討論会で腰かけたことで、一躍人気となった。